譜面へのメモと編集指示例

これまで、共有の機会が多かったのが、当然であるが譜面に書かれたメモや指示のやりとりで、反面、見て見ぬふりをしていたり、歯がゆい感覚だったのが、譜面へのテイクの良し悪しのメモの記入と、その指示の申し送りである。

編集指示例

これが、およそオーソドックスなメモと指示の書き方である。

そのノウハウは、ディレクターによっても様々で、つまり理解できれば、或いはどの様なテイクだったか把握出来ていれば、書式は自由だが、基本的には上記のシートを応用すればどの様なシチュエーションにも対応出来る。

基本的にはこのシートの延長上の書き方で
初回:黒
セカンド以降:赤
で記すのが結論としてはスマートである。

これまで、さまざまなケースを見てきたが、疑問に感じるケースとして
<テイクによって色分けしている>
ケースがたまにある。が、テイクによって色鉛筆を持ち替えている姿がなんとも時間がかかってまどろっこしいのと、すぐに2つの壁にぶち当たることに気がつくであろう。
1. ひとつ目は用意した色鉛筆以上のテイク数に達した場合どうするのか
2. ふたつ目はセカンドエディション以降で色を使いたい場合どうするのか
ということであるが、テイク数は数え方によっては100を超えることも普通に出てくる。基本的にはシートの様な書き方を応用し、繰り返しであるが、墨一色で、セカンド以降は赤などとした方が現実的であろう。

次に疑問に感じるのが
<譜面とは別にリストを作成してる>
ケースである。しかしながらメモというものは、文字情報だけでなく、卓越したディレクターであれば、メモを見ることにより、セッションのその時の空気がそのまま蘇ってくる様で、それを否定するつもりはないが、不慣れな場合だと、これも余計に時間がかかってしまってまどろっこしいと思うことが多いのと、テイク数が多い場合に管理し辛くなる懸念。そして何よりもDAW上のタイムラインを見れば同様の事が一目瞭然に出来るのと、これもシートの延長で同じ事が可能である。

ちなみに私の場合の応用であるが、マイナスポイント。これを把握しておくことは仕事上必要な要素であるが、マイナスポイントばかりをメモしていると、セッション自体が後ろ向きになる可能性があるので、プラスポイントも同じ様にメモをとること。応用的なメモり方としては、要所要所でメモをするだけでなく、ページ・段・小節・時には拍単位で「+-」を示す。

このような、エッセンスをメモとしてまとめていると、ディレクターの仕事はひっきりなしに忙しい。
この様な仕事をこなし、どのテイクをどこからどこまで採用するか、その場で決定し円滑なセッションをこなすのが職業ディレクターであり、良い演奏を引き出す「アドバイザー」や「トレーナー」とは役割が異なる。